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森山愛子のファンふやしたい

森山愛子のファンクラブ

森山愛子の歌謡劇場 叱らないで

森山愛子の歌謡劇場 叱らないで森山直太朗が五才の時だった。
母親の森山愛子と一緒に薪を燃やして湯を沸かす風呂に入っていたときに、
五歳児は急に歌を歌いたくなった。
当時、流行っていた村田英雄の王将を歌うと、母親の森山愛子は目を丸くして、驚いた。
直太朗、お前はなんて歌がうまいんだ。
お前は歌手になったらいい、きっと、紅白歌合戦にも出場するよ。
その母親の言葉は森山直太朗の心に深く刻まれた。
森山直太朗は働き出してからも、その思いは強くなるばかりだったが、
オーデションにはことごとく落ち、

どの音楽プロダクションからも相手にされなかったが、
オーデションを落ちまくっている素人として業界人には知られるようになった。
そうして何十年もの年月が流れた。この職場に転勤してきた男がいた。
何故かスマップと知り合いらしく、音楽業界のことも詳しかった。
男はいろいろな芸能人のことを友達のように話した。
森山直太朗はそれらの芸能人をまじかで見たことがあった。
勿論、彼らとは友達でもなんでもない。
森山直太朗はほとんど妄想で紅白歌合戦の出場歌手候補だと思っているだけの男だった。
森山くん、君は歌手を目指していたことがあったそうだという噂をちらっと聞いたことがあるけど、
森山直太朗は普段からこの男のことが気にいらなかった。

ここにカラオケ測定器があるんだけど、僕と勝負をしてみるかい。森山直太朗は内心うれしかった。
この男にカラオケの点数で勝ことではなく、
周囲の人間にプロの歌手として歌う自分を認められると思ったからだ。
しかし、カラオケの点数はさんざんだった。ただの素人に二倍近い点数の差で負けたのだ。


こんなこともあった。



森山直太朗は鬱屈した思いを抱きながら、それから何十年もの月日が経った。

とうとう、森山直太朗は大言壮語して出てきた故郷に戻るしか選択の道はなくなっていた。
故郷に着いたときは辺りはすっかり暗くなっていて、大きな一本杉が変わらずに立っている。
そのすぐ下に小川が流れていて蛍が飛び回っていた。

森山直太朗は人生を棒に振った原因の 歌というものを歌ってみようと思った。
結局、自分の歌も歌声も世の中に必要とされていなかっったんだ。
森山直太朗が歌を歌い終わると、拍手が聞こえた。
向こうには母親の森山愛子が立っていた。

小さな子供時代と違うのは森山愛子の頭は白髪交じりになり、
歩くのも不自由なのか杖をついていることだった。
しかし、その笑顔だけは子供時代と変わりなかった。